水田土壌の生物的鉄酸化機構の解明に向けた
新奇微好気性鉄酸化菌に関する研究

渡邉 健史
(名古屋大学大学院 生命農学研究科 生物機構・機能科学専攻 助教)

2013年8月27日火曜日

やさしい科学技術セミナー終了

8/23 (金)に豊田市自然観察の森にてやさしい科学技術セミナーが開催され、無事終了しましたので報告したいと思います。

本セミナーは、日本土壌肥料学会中部支部と共同で行われました。
私自身は、講義も説明もしどろもどろで冷や汗かきっぱなしでしたが、参加者のみなさんはそれなり楽しんでいただけたようで(そう思いたいです)、ホッとしております。

午前中は、自然観察の森を散策し、植生と土壌、地形の関係や、森林と湿地の土壌の違いを実際に見て、触って、感じてもらいました。
>小倉さん、暑い中、2時間弱も歩くことをきちんと伝えておらず、すいませんでした。

午後は、3つのグループに分かれて、土壌動物の観察、土壌呼吸の実験、土壌緩衝能の実験を行いました。
土壌動物は、ツルグレン装置とハンドソーティングで土壌動物を補足し、観察。
土壌呼吸は、土壌生物の活動によって放出される二酸化炭素を、フェノールフタレイン指示薬の色の変化から検出。
土壌緩衝能は、異なる土壌に異なるpHの塩酸を加え、土壌pHの変化の仕方から、緩衝能の違いを比較。
という実験です。

私は主に土壌動物の観察を担当したのですが、後で聞くと、土壌緩衝能の実験ははっきりとした違いが得られず、なかなか理解しにくかったようです。
最初の講義もあまりうまく伝えられず、今後の改善点と反省しております。

土壌動物の観察は、今回、虫眼鏡、実体顕微鏡の他にも、財団予算でUSBデジタルマイクロスコープを購入して観察を試みましたが、意外にクリアな画像が撮れて、大変満足です。
参加者も、「へぇ〜」や「うゎ〜」、「きもい」など、いろんな声があがったり、画面と図鑑を見比べながら熱心に調べてくれたり、と、結構役に立ったみたいで、購入してよかったと思います。

実際に観察された土壌動物をいくつかご紹介します。






最初、財団にこういうものを買う予定です、と伝えたときには、
「ふ〜ん、それは何?面白いの?」
みたいな反応で、また、他の人からもそれほど好反応を得られず、正直、大変不安だったのですが、最終的には、小倉さんにも気に入っていただけたようで、
「これ、めっちゃいい。絶対買う。」
とまで言っていただきました。

お手軽にいろんなことで使える(遊べる)と思いますので、興味がある方はぜひお試しを(今回購入したものはこちらの中のBasicなものです)。

今回のセミナーの参加者の多くは、普段、土壌についてはあまり何も考えることがなかったと思いますが、参加者の土壌の不思議さに対する素直な反応がみれて、また土壌について少しでも知ってもらえてよかったと思います。
私にも刺激になりました。
初心に戻って、素直な気持ちでまた日々の研究を励みたいと思います。

今回の開催に関しまして、いろいろとご尽力いただきました小倉さん、中原さん、藤井さん、学会関係者、また参加してくださった方に改めて感謝申し上げます。

2013年8月7日水曜日

論文の掲載

論文掲載、本の宣伝です。
 
今回の助成に関係する先行研究の成果が日本土壌肥料学会の英文誌であるSoil Science and Plant Nutritionに掲載されました。

Takeshi Watanabe, Hiroaki Sumida, Nhut Minh Do, Katsuya Yano, Susumu Asakawa, Makoto Kimura (2013)

Bacterial consortia in iron-deposited colonies formed on paddy soil surface under microaerobic conditions. 

Soil Sci. Plant Nutr., 59, 337-346.

http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00380768.2013.791807#.UgJRboX80lI 

この論文では、
還元状態の水田土壌を微好気的に培養すると、酸化鉄が沈着した微生物のコロニーが形成されることを発見し、そのコロニーの微生物相の解析すると、微好気性の鉄酸化細菌に系統的に近い配列が主に得られた、
ということを報告しています。

この結果が軸となって、今回の研究テーマに繋がっています。
現在は、そこからさらに展開しているところですが、まだまだ報告できるレベルではありません。
試行錯誤しながらがんばっていきます。


本論文について興味のある方は、お気軽にお問い合わせを。


また、今回の助成とは関係ありませんが、
養賢堂より、「土壌微生物実験法 第3版」が出版されました。
第3版では、1997年に出版された「新編 土壌微生物実験法」には掲載されていない、近年確立した解析法が多く載っています。
私も微力ながら一部、第3版の執筆に携わりましたので、ご興味がある方はこちらもぜひご覧ください。